慈恵病院 無痛分娩

慈恵病院の方針
慈恵病院では以下を分娩の方針としています。
  1. 「私は自然分娩で産みたい、ソフロロジーでがんばる」という方には、無痛分娩をおすすめしておりません。
    お産は麻酔を使用しない方がスムーズに進行しますので、自然分娩をおすすめします。
  2. 陣痛に対する不安が強く、無痛分娩を希望される産婦さんには、喜んでお手伝いをします。例えば
    ・「痛みに弱い方なので」と不安な方
    ・前回の分娩時の痛みがとても辛かった方
    ・パニック障害、不安神経症など、心の病気を持っておられる方
  3. 無痛分娩にすべきか迷っていらっしゃる方は、ギリギリまで迷われても良いと思います。
    ただし、分娩室が満床になったり、医師が手術中だったりすると、すぐに麻酔を開始できず「陣痛で辛かったのに、麻酔開始まで2時間も待たされた」という事態もありえます。できれば入院なさった時点で、無痛分娩を希望されるかどうかを決定されていた方が良いと思います。
     
    迷っていらっしゃる場合は、とりあえず麻酔チューブを入れておかれるのも、ひとつの方法です。麻酔チューブさえ入っていれば、麻酔の対応が早いですし、麻酔チューブが入っても、その後に麻酔薬を投与しなければ自然分娩です。
     
    また、妊娠中に「自然分娩希望だけれど、痛くて困ったときには無痛分娩がある!」と思っていただくだけでも、お産に対する不安を和らげる効果があります。無痛分娩を御守り代わりにしながら、最終的には自然分娩を達成する産婦さんもいらっしゃいます。
  4. 慈恵病院では分娩室で「無痛分娩をしませんか?」という勧誘をしていません。
    それは、お産の後に「自然分娩をしたかった」と後悔されることがないか心配だからです。私たちはしばしば、これに似たケースを帝王切開で経験します。帝王切開で出産された方は、医学的に必要性があって手術をお受けになります。
    ところが「次は下から産みたい」と希望される妊婦さんが時折いらっしゃいます。同じような事態が無痛分娩で発生するのは、残念なことです。無痛分娩は良い分娩法だと考えていますが、お産の後に後悔されることがあってはいけません。
    ですから、あくまでもご自身で希望された方のみが無痛分娩の対象です。
  5. 例外的に、病院から無痛分娩をおすすめするケースが2つあります。
  6. Ⅰ 血圧の高い妊婦さんには、無痛分娩をおすすめします。
    血圧が高い妊婦さんに陣痛が加わると、ますます血圧が上がって、けいれんを起こしたり、頭に出血を起こしたりする危険性があります。無痛分娩によって痛みを和らげ、血圧の上昇を防ぎます。
  7. Ⅱ お腹の中で赤ちゃんが亡くなっている場合(子宮内胎児死亡)にも無痛分娩のご提案をします。
    臨月に入って突然赤ちゃんが亡くなるのは、慈恵病院全体でも数年に1人ですが、妊娠20週前後で赤ちゃんが亡くなることは時々あります。産婦さんが陣痛に耐えるのは、「この陣痛を乗り越えれば、赤ちゃんに会える」という期待感からです。赤ちゃんが亡くなっているという現実を受け止めながら陣痛に耐えるのは、とても辛いことですから、病院から無痛分娩をおすすめしています。
    この場合、ほとんどの方が無痛分娩を希望されますし、幸い多くの方が無事に次の妊娠と出産を実現されています。
動画を見る