【受付時間】
金曜の午後 | 予約制で行います。 |
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【受付場所】
外科外来窓口
※予約受付は、外科外来窓口(電話でのお申し込みも外科外来で一括)で行います。
1.痛みの相談と緩和
痛みという感覚は本来は生命維持に必要な警報システムであり生体に不可欠な防御機構です。そのため痛みは機序(何故痛いのかという原因)から3種類に分けることができるとされています。
1)侵害受容性疼痛
身体に異常が起きていることを知らせる、本来は体を守るための警報としての感覚です。火災報知器に例えれば、火事(侵害刺激)が起こり、熱・煙感知器がこの情報をキャッチ(受容)し、スピーカがリーン(痛い)と鳴っている状態です。体の何らかの異変を知らせている状態です。打撲、切り傷、骨折などの外傷のほか、頭痛・腹痛・生理痛など私たちが日常的に経験する痛みです。
2)神経障害性疼痛
痛みを伝える神経や、脊髄・脳そのものが障害されて起こる感覚です。火事(侵害刺激)とはあまり関係なく、熱・煙感知器やケーブル、スピーカなどのシステムのどこかに異常があって、リーン(痛い)と鳴っている状態です。帯状疱疹後神経痛、糖尿病性神経痛、脳卒中後疼痛などがあります。
3)痛覚変調性疼痛
上の2つは何かの障害や損傷が明らかな「痛み」ですが、障害や損傷がわずかであったり・はっきりしないのに「痛み」を感じることがあります。従来は心理社会的疼痛(心因性疼痛)と分類されていました。火災報知器に例えると、スピーカから何か聴こえるものが、うるさくて堪らない、ということです。この痛みは、痛み感覚の調節機能に変調をきたしていることが原因であるとして、痛覚変調性疼痛と呼称することが2021年に決まりました。線維筋痛症などがこれにあたります。
外来では、痛みの機序を考えることで、痛みの緩和を図る方策を考えます。ただし、診療時間や、神経ブロック装置・設備などが限られていますので、本院で対応ができないことも多々あります。その場合は、県内の最適と考えられる施設をご紹介することでお役に立てれば、と考えています。
2.下肢深部静脈血栓症の超音波検査によるスクリーニング
妊娠中は、①血液が濃縮している(つわりの時期に脱水となって血栓ができやすい)、②血液の流れが停滞している(妊娠後期に大きくなった子宮が血管を圧迫して血栓ができやすい)、③血管の壁が傷ついている(喫煙、糖尿病など基礎疾患がある場合できやすい)、などの条件が重なり、主に下肢の静脈に血栓が作られやすくなります。そのため、本院では産科と麻酔科が合同で、日本産婦人科診療ガイドラインに沿って、深部静脈血栓症・肺塞栓症の予防対策を行っています。
妊娠中や女性ホルモン製剤(ピル)服用中は、定期的な外来受診時にWellスコアによる自覚症状をチェックします。異常が疑われた場合、血栓症のマーカーであるDダイマを測定し、当科外来で超音波検査によるスクリーニング検査と理学検査を行います。両足を骨盤内からふくらはぎまで検査しますので、1?1.5時間ほどかかります。週に1?5名程度と検査数が増えたため、外来日(金曜日午後)以外にも行うことがあります。
2017年10月から開始し、2022年7月までに約500名ほど検査し、11名に血栓を認めました。血栓が見つかったときは、中枢型など危険な場所にできている場合は心臓血管外科や循環器内科がある高次病院への移送が必要となります。末梢型は程度にもよりますが専門医に紹介したのち、本院で管理を続けることが多いです。
血栓は無いものの、下肢にむくみがある、静脈血のうっ滞がある場合などは、それ以後に血栓を作らないよう、生活スタイルや圧迫ストッキングなどによる予防法などの理学療法を指導しています。
詳しい下肢静脈血栓症対策の概要につきましては、産科外来に置いてありますパンフレットをご参照ください。
3.麻酔の相談
手術や出産の際の麻酔に問題がありそうな方の、前もってのご相談を承っています。その中でも多いのは「歯科治療を受けた時の麻酔で動悸や気分不良があった」という方が、「手術や無痛分娩を受けたい」という事案です。歯科領域で使用される麻酔薬には、止血のため血管収縮薬が添加されていますので、使用時に一過性の動悸が起こることはありえます。しかし、アレルギ反応を思わせる気分不良や咽頭不快感、蕁麻疹などの反応があった場合、妊娠中は胎児の安全性を確保するためチャレンジ(皮内、プリック試験)試験は行いにくく、体外検査(採血)による好塩基球活性化試験(BAT)をお勧めしています。
BAT は薬剤を作用させた時に好塩基球表面におこる活性化(アレルギ準備状況)を測定するもので、臨床症状によく似ている結果が出ると言われています。保険で検査することができず、外注自費検査のため1薬剤あたり検査料9000円+薬剤価格と費用がかかること、結果がでるまで1週間を要するという欠点があるため、歯科治療時などでの副反応を詳細に聞き取り、カウンセリングを行った上で実施します。
これまで、8名の方に、のべ20種類以上の薬剤によるBATを実施し、幾つかの薬剤に対する反応を見ることがありました。その場合、手術や無痛分娩時にアレルギ反応が予想される薬剤を避けるなど、安全対策に繋ぐことができています。