熊本の産婦人科、無痛分娩などは慈恵病院まで。

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こうのとりのゆりかご|慈恵病院

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緊急下の妊婦から生まれた赤ちゃんの出自を知る権利の保障等に関する検討会 緊急下の妊婦から生まれた赤ちゃんの出自を知る権利の保障等に関する検討会
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緊急下の妊婦から生まれた赤ちゃんの出自を知る権利の
保障等に関する検討会(略称:出自検討会)について
検討会の目的
検討会は、各委員の専門的な立場から、子どもの出自を知る権利に関わる課題について整理し、子どもの出自を知る権利を守るために必要な対応について意見交換を行うことにより、子どもに対する真実告知への支援及び内密出産に係わる妊婦の身元情報等の管理、保存、開示等を行うための病院による規定の制定に寄与することを目的とします。
検討項目
(1)子どもに対する真実告知の在り方等に関すること。
(2)子どもの出自情報の範囲に関すること。
(3)子どもの出自情報の開示手続き等に関すること。
(4)保護者等の身元情報の保存方法等に関すること。
発足の経緯
当院は平成19年(2007年)から「こうのとりのゆりかご」の運営を始めました。これは自ら育てることの出来ない赤ちゃんを親御さんが匿名で病院に預け入れるシステムです。ここには令和5年3月までの16年間で170名の赤ちゃんが預けられました。
また令和3年12月には内密出産が始まりました。内密出産は妊婦さんが匿名のまま病院で出産できるものです。令和5年5月までに11名の赤ちゃんが内密出産によって生まれました。
「こうのとりのゆりかご」や内密出産の目的は赤ちゃんの遺棄や殺人を防ぐことにあります。自らの妊娠や出産を周囲に知られたくないと強く願う女性に対して、匿名性を保証することにより赤ちゃんの命や健康を確保しようとするものです。
しかし、これらの取り組みには度々「赤ちゃんの出自を知る権利を損なう」という批判が寄せられました。赤ちゃんの命や健康は大事ですが、出自を知る権利も大事です。両者のバランスを取る作業は非常に難しく、これまで国内では踏み込んだ議論がなされませんでした。
そこで令和5年1月17日に当院が大西一史熊本市長に検討会の設置をお願いしました。
以下は大西市長に差し上げた要請文の抜粋です。

(1)内密出産や「こうのとりのゆりかご」に関連して下記の問題が存在します。

  1. 出自を知る権利が重要と言われながら、出自情報の定義が曖昧です。出自情報としまして以下の項目が考えられます。

    • 子どもの生年月日、出生日、出生場所
    • 実親の名前、生年月日、居住地、その他現在の生活状況
    • 同胞、祖父母を始め親族の情報
    • 遺伝性疾患やアレルギー、血液型など医学的情報
    • 自らの出生に先立つ妊娠の経緯
    • 実親が子を育てられず養育を他者に託した経緯
    • 実親の子に対する思い(「自分で育てたかった」「愛していた」など)
  2. 出自情報の中には、それを伝えることで子が精神的ダメージを負う可能性のものがあり、これを無条件に提供することに疑問が残ります。特に出生に先立つ妊娠の経緯にあたりまして、下記の状況には注意を要します。

    • レイプ
    • 売春
    • 近親相姦(近親姦)
    • ダブル不倫(実父、実母のいずれの家庭にとっても「いてもらっては困る子」となり得ますので、子の存在自体が否定されかねません)
  3. 真実告知の手続が曖昧です。特別養子縁組を始め社会的養護の領域では、これまで様々な取り組みがなされてきました。しかしながら「こうのとりのゆりかご」や内密出産におきましては実親が匿名性を強く求めていますので、他事例にも増して慎重に真実告知を行わなければいけません。それだけに養育者の不安も強いはずで、第三者のアドバイスが必要と考えます。

  4. 内密出産や「こうのとりのゆりかご」における出自情報の開示手続が定められていません。

    • ドイツでは内密出産における出自情報の開示手続が法律に明記されていますが、本邦では先のガイドラインでも言及されていません。開示手続の開始時期、開示内容、実親が開示に反対した場合の対応など多くの課題があります。
    • 「こうのとりのゆりかご」におきましても開示手続についての具体的指針がなく、その時々の担当者任せになっています。例えば過去には、養親から出自情報開示の依頼を受けた児童相談所の担当の方が「慈恵病院に相談して下さい」と案内された事例がありました。私どもとしましては、民間病院が独自に対応して良いものか戸惑いました。内密出産に先立って「こうのとりのゆりかご」の赤ちゃんたちは数年以内に成人年齢に達しますので、早急な準備を要します。
この他、当院が実施している内密出産において実母さんからお預かりした出自証明書の保管につきましても問題があります。現状では当院が独自で決めた手続きで出自証明書を管理していますが、内密出産についての法整備がなされたドイツでは、公的機関が法律に定められたルールに則って出自証明書を管理しています。我が国でも何らかのルールを作っていただきたいところです。

 

当院からのお願いを大西市長がお認めいただき、同年5月31日に熊本市と慈恵病院の共同設置という形で検討会の発足が発表されました。
検討会の運営方針
(1)この会での検討対象は「緊急下の妊婦から生まれた赤ちゃんの出自」です。国内では、これまで生殖補助医療によって生まれた子どもの出自を知る権利について議論や報道がなされてきました。しかし緊急下の妊婦から生まれた赤ちゃん(「こうのとりのゆりかご」、内密出産)と生殖補助医療により生まれた赤ちゃんでは背景が異なります。
緊急下(「ゆりかご」、内密出産) 生殖補助医療
妊娠の経緯 「望まない妊娠」が多く、売春、レイプ、不倫、近親相姦などが含まれる 切望されて生まれた
妊娠の予見性 予期しない妊娠 医師からの説明を受け熟慮の末に妊娠
実親の存在 「お父さんもお母さんも分からない」 少なくとも母親とは血縁関係にある
実父 時として犯罪者や風俗のお客 医学部生を始め社会的信用のある存在
実親(実父)を匿名にする理由 赤ちゃんの命や健康の確保 精子提供者が減る
実父の存在が不明という点では共通していますが、上記のように背景が異なりますので、両者を分けて考えなければ議論が混乱すると思われます。
(2)令和5年7月2日に第1回の会議を開催し、以後委員を始め有識者、関係者へのヒヤリングを行います。その後に委員間で討議を重ね、検討項目について見解をまとめます。これらの作業を令和6年12月までに完了する予定です。
(3)検討会は対面とオンラインのハイブリッド形式で行います。発表者や委員の同意を得られる回につきましては、オンラインが公開されます。視聴をご希望の方はこちらからお申し込みください。
(4)委員以外の方々からのアドバイスやご報告を募集しています。
下記お立場の方々を含め、ご意見をいただける方はこちら(投函フォーム)にお願いいたします。
[養子、養親、里子、里親、乳児院・施設関係者、児童相談所等行政関係者、法曹関係者、研究者、特別養子縁組あっせん団体関係者]
委員名

※五十音順

氏 名 職業・所属・立場 専門・補足
安保 千秋
(あぼ ちあき)
弁護士 専門:子どもの人権
安發 明子
(あわ あきこ)
日本学術振興会特別研究員 研究テーマ:フランスの子ども家庭ソーシャルワーク、匿名出産
石黒 大貴
(いしぐろ ひろき)
弁護士 専門:孤立出産
大場 亜衣
(おおば あい)
日本国際社会事業団 社会福祉士 養子縁組支援機関の立場から
柏木 恭典
(かしわぎ やすのり)

千葉経済大学短期大学部こども学科教授

専門:教育学、母子支援論、ドイツの赤ちゃんポスト・内密出産

傘 正治
(からかさ まさはる)

熊本乳児院副院長

「こうのとりのゆりかご」の赤ちゃんを養育した立場から

姜 恩和
(かん うな)

目白大学人間学部人間福祉学科教授

専門:子ども家庭福祉、妊娠期からの女性支援、韓国のベビーボックス

古閑 えりか
(こが えりか)

熊本市児童相談所副所長

 
高木 絹子
(たかぎ きぬこ)

弁護士

専門:個人情報保護

床谷 文雄
(とこたに ふみお)
奈良大学文学部教授

専門:民法、家族法

蓮田 健
(はすだ たけし)

慈恵病院 理事長・院長

 
蓮田 真琴
(はすだ まこと)

慈恵病院 新生児相談室長

 
藤林 武史
(ふじばやし たけし)

精神科医師、西日本こども研修センターあかしセンター長

専門:精神科、里親委託
光安 一美
(みつやす かずみ)

熊本市こども福祉部長

 
座長:森 和子
(もり かずこ)
元文京学院大学教授

専門:児童福祉幼児教育

氏名非公表

「こうのとりのゆりかご」の赤ちゃんの養親さん

 
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