養親さんが初めて赤ちゃんに会いに来られる日・・・「親」としての一歩を踏み出す日。
私たち相談員とっても忘れられない日になるのです。
「パパだよ、ママだよ」赤ちゃんを養親さんの元にお連れした時に流される涙は私たちの想像を遥かに超えた
「出逢えた喜び」だと思うのです。
養親さん方の多くは不妊治療を経験されています。
長きに渡る不妊治療は肉体的な疲労だけではなく、経済的にも精神的にも追い詰めます。
特に精神的な疲労は心を蝕むと伺いました。
不妊治療を経て特別養子縁組で赤ちゃんに初めて会った日のことを
ある養親さんに教えていただいたお気持ちです。
「友人の妊娠や出産を素直に祝福できなかったこと、他人ができることがどうして自分はできないんだろうと劣等感を持ったこと
赤ちゃんを抱く人を見るのも嫌だったこと、子どもの写真入りの年賀状なんて欲しくもないと思ったこと
”子どもは?”と周りから聞かれなくなっていくこと、ああ・・・自分が”可哀想”と思われているんだと感じたこと
お腹を痛めて産んだ子の命を奪う親がいるのにどうして神様は私に赤ちゃんを授けてくれないんだろう・・・
不公平だ、神様なんていないんだ
どうして?どうして?どうして私だけ?と、そんなつらい思いと日々が走馬灯のように頭を駆け巡ったけれど
赤ちゃんのお顔を見た瞬間に
そんなこと吹き飛んでしまって。全てはこの日のために!この子に出会うためだったんだと思えます。」と
泣きながら話してくださいました。
その養母さんの想いは私の胸にずっと在ります。
私には子どもが2人います。
だから、養親さん方の「産めないこと」の苦しみは本当の意味では分からないのかもしれません。
けれど、わからないからこそ「わかりたい」と思う。
寄り添うとは互いの「わからない」部分に少しずつ少しずつ歩み寄って行くことだと思うのです。
そんな思いの中で迎える初めての「出逢いの日」
養親さん、実母さん、私たち相談員の
いま、ここにある命がただただ幸せであるようにと願う思いが交差して
涙が止まらなくなるのです。