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日本において、子宮筋腫の手術では腹式手術が一般的ですが、傷が残ってしまいますので、手術に踏み込めない患者様が多いようです。腟式手術はお腹を開けずに腟の方から子宮を摘出する手術です。慈恵病院では、昭和52年5月より熊本県で初めて導入しました。以来、多くの手術を手掛けさせていただき、たくさんの患者様から喜びの声をいただいております。
腹式手術と膣式手術の違いをひとことで言うと、お腹を「切る」か「切らない」かということです。
以下の図をご参照いただき、違いと特徴をご覧ください。
当院では、腹腔鏡下手術と呼ばれる方法も行なっております。これはお腹に小さな穴を開け、ここにカメラを挿入してお腹の中を観察するものです。カメラがとらえた映像を見ながら手術を進めることができます。
腹腔鏡下手術と腟式手術を組み合わせることで、お腹の中の癒着状態が把握できるようになりました。その結果、腟式手術はより安全な手術となり、以前よりも大きな子宮摘出ができるようになりました。
お腹を開ければ、術後にお腹の傷の痛みが発生しますが、
この手術ではその痛みがありません。
痛みが少ない分、術後の回復が早い傾向にあります。
お腹に傷が生じませんので美容上も優れています。
開腹手術のように臓器を目で見ながら手術するわけではないため、
視野が狭く、手術の執刀者にとっては難易度の高い手術です。
子宮筋腫などで子宮が大きくなると手術時間が
開腹手術の場合よりも長くなってしまいます。
子宮があまりにも大きくなってしまえば、腟からの摘出自体が
できなくなることもあります。
お腹の中に強い癒着がある方にはお勧めできません。
例えば子宮と腸が強く癒着していれば、子宮摘出の際に
傷をつけてしまうこともあります。

膣式手術についてよくいただくご質問

膣式手術ではお腹を開けませんので、お腹の傷の痛みは発生しません。しかし、下腹部の痛みは生じます。これは、子宮を摘出する際に周囲の組織から切断し縫合したことによる痛みです。この痛みは、開腹手術の時にも生じます。
開腹手術の痛みは、「お腹の傷の痛み」+「子宮は切断した傷の痛み」ですが、膣式手術の痛みは、「子宮を切断した傷の痛み」のみという点で異なります。その結果、膣式手術の痛みは開腹手術に比べて軽い傾向にあります。
また、術後も腰からの麻酔(硬膜外麻酔)が継続されますので、「耐えがたい痛み」になることは少ないと考えられます。

早期の退院をご希望の方には術後7日でご退院いただいています。
ただ、「家に帰ると、いろいろな家事をしなければならず、それをできるほど体力が回復していない」「一人暮らしなので不安だからもう少し様子をみたい」などの理由で術後10日頃の退院をなさる方が多い状況です。

お仕事の種類によって体に生じる負荷が異なりますから、一概に言えません。
例えば、デスクワークの方でしたら術後2週間でも可能です。しかし、介護職のようにお腹に力のかかるお仕事でしたら術後1ヶ月かかります。
また、痛みの感受性には個人差がありますので、同じ職種でも職場復帰後の症状の有無については若干の違いがあります。予定よりも職場復帰が遅くなれば、周囲の方の負担にもなります。可能でしたら1ヶ月くらいのお休みを確保なさった方が安心です。