慈恵病院 特別養子縁組

人生には三つの坂がある

2020-08-04

梅雨明けを心待ちにしていた今日この頃
日本列島、いったい何が起きているのかと心配になる大雨の災害。
熊本は球磨川が氾濫し、人吉球磨地域に甚大な被害がありました。この梅雨の間は全国的に一級河川が氾濫する光景が。
自然災害の恐怖でしかありませんよね。それに加えコロナの更なる拡大、一日も早い収束を祈るばかりです。
さて!今回は養親さんからの寄稿をご紹介致します。
なんとこの記事をアップしようとしている最中に特別養子縁組成立のご連絡が飛び込んでまいりました!
そのお母さんが寄せてくださったものになります。
彼女の思いがたくさんの方に届きますように。

人生には三つの坂がある

「人生には三つの坂がある。上り坂、下り坂、そして、まさか」だ。という言葉がありますが私たちには結婚して間もなく
その「まさか」がやってきました。なかなか子どもが出来ず、クリニックで検査をし、医師から
「自然妊娠は不可能です」と告げられたのです。
周りの誰もがそうするように、私たちも当然のように子どもがすぐできると思っていましたが、どんなに望んでも、どんなに頑張っても叶うことはありませんでした。
少ない望みに賭け、来る日も来る日もクリニックに通い、不妊治療の為にすべての貯金と労力を使い、できることは何でもやりました。
周りの家庭がとても羨ましく、心ない言葉にも敏感に傷つくようになり、次第に人付き合いを避けるようになりました。
そんな生活が6年にも及びましたが、今思えば、つらい日々を過ごしたからこそ、夫婦の絆は深く強くなったと思います。
私たちはなぜ子どもが欲しいのか、なぜ子育てをしたいのか・・・悩み続ける日々の中で「子」の存在とはなんなのかと時間をかけて考えました。

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家庭で育つことができない子がいるなら、私たちがぜひとも受け入れて、育てさせてもらいたい。と思いました。

県の養子縁組のお話がなかなかない中で、夫が突然、慈恵病院さんが特別養子縁組を始められたという新聞記事を見つけ、すぐに説明会に申込み、申請をさせていただきました。

息子とのご縁をいただいたのは、息子が生後2週間の時でした。

お話をいただいたときはすごく興奮して気が動転しメモする手が震えていたことを覚えています。直ぐに夫にも連絡し、2日後にはドキドキしながら熊本へ向かいました。

ベビーコットに寝ている赤ちゃんはとても小さくて可愛くて、天使のような寝顔でスヤスヤと眠っていました。初めて抱っこをした時の感動は今でも覚えています。

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名前もこちらで決めさせていただけて、眠れぬ夜を過ごしながら夢にまで見た私たちの赤ちゃんになる子を迎えるワクワクと楽しみと、実感がなくて信じられない気持ちと少しの不安と・・・たくさんの感情でいっぱいでした。

病院で24時間の母子同室が始まり、二人きりの時間ができた時「私がこの子を守っていくんだ、という決意とこの子の母親として生きていく覚悟が固まりました。

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この子がうちに来てくれて約8カ月が経とうとしています。

本当にあっという間で、毎日が幸せでこの子からパワーをもらっています。

今は試験養育期間も終わり、審判が下りたところです。

結婚して10年。その年にこの子を迎え、とても長い道のりだったけれど、今となっては必要なことだったと思っています。

子を持つ奇跡、親になれる尊さを知ったからです。かかった時間はこの子に出会うための時間だったんだと思えるようになりました。

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最後に

これから一人でも多くの子が新たな縁を結びあったかい家庭で幸せに育ちますように願っています。

生まれた子は幸せに生きる権利があり、私たちのような夫婦は受け皿となって愛情を注ぐ。

そんな家庭がもっと増えていけば、世の中は本当に豊かな社会になると信じています。