慈恵病院 無痛分娩

ソフロロジー×無痛分娩のすすめソフロロジー×無痛分娩のすすめ
無痛分娩は産婦さんの期待を裏切ることがあります。「無痛分娩なのに痛かった」という感想があるのです。その感想は、初産婦さん(初めてお産を経験する女性)に比較的多くみられます。ただし、たとえ理想通りにお産が進まなかったとしても、事前にイレギュラーを想定し「ソフロロジー式分娩法」を取り入れることによって、陣痛の痛みを和らげることが可能です。当院では、無痛分娩を希望される産婦さんにこそ、ソフロロジー法をおすすめしています。
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初産婦さんはお産に時間がかかる?

初産婦さんは経産婦さん(ここでは「過去に下からのお産を経験した女性」の意味)に比べて、子宮や腟が硬くて開きにくい傾向にあります。その結果、分娩に時間がかかります。例えば陣痛が始まってから赤ちゃんが生まれるまでに、経産婦さんなら6時間くらいで済むところ、初産婦さんでは約12時間かかります。それだけ初産婦さんでは赤ちゃんが生まれにくいのです。
そんな状況で初産婦さんに無痛分娩の麻酔を使うと、陣痛が弱くなってしまい、ますますお産に時間がかかってしまいます。麻酔薬には痛みを和らげるだけでなく、子宮の収縮力を弱めて、赤ちゃんを押し出す力を弱めてしまう副作用があるからです。
ですから初産婦さんには麻酔薬を少なめに使わざるを得ません。その結果、痛みの感覚が残って「無痛分娩なのに痛かった」という感想になってしまいます。

経産婦さんでも無痛にならないケース

一方、経産婦さんではお産の進行が早い傾向にありますので、無痛分娩でも比較的多めの麻酔薬を使うことができ、痛くないお産を実現しやすくなります。
しかし赤ちゃんの頭が大きかったり、頭の向きが正常からずれていたりする場合(回旋異常)には、経産婦さんでもお産が遅くなることがあります。その対策として強い陣痛が必要になりますから、陣痛を弱めてしまう麻酔薬の使用は控えめにします。
経産婦さんなのに痛みを伴ってしまう無痛分娩のパターンです。

 

ワンポイントワンポイント

ソフロロジー法は強い味方

無痛分娩の麻酔薬を減らしたり、中止せざるを得ない。そんなときに助けになるのが「ソフロロジー法」です。ソフロロジー法は、簡単にいえば自己暗示によって陣痛の痛みを和らげる分娩方法です。

 

次のような経験をしたことはありませんか? 机の角で肘をぶつけたり、転んで膝をケガしたとき「痛くない、痛くない」と思うと痛みが和らぎ「痛い、痛い」と思うと痛みを強く感じます。また、首や脇を触られると、くすぐったくて苦手な人がいると思いますが、自分の手で触る分にはくすぐったくありません。これは無意識のうちに「自分の手で触っている」という情報が脳に伝えられるからです。

 

痛みをはじめとして、人間の感覚は意外と気の持ちようによって感じ方が変わるものなのです。

ソフロロジー法とは?

ソフロロジー式分娩法では、辛いはずのお産の痛みを「可愛い赤ちゃんが生まれてくるための大事なエネルギー」とポジティブにとらえます。
また、ヨガの要素を取り入れた呼吸法を用いて、ストレスの少ない静かなお産を目指します。
ソフロロジー法は無痛分娩の麻酔を少なくしたり、中止したりする際に大きな助けとなります。また、ソフロロジー法の良いところは、決して難しくなく独学できるところです。ソフロロジーのCDを聴くだけでも、効果があるといわれています。

 

もしもの備えとして、無痛分娩希望の妊婦さんにこそソフロロジー法をおすすめします。特に初産婦さん、それも35歳以上の初産婦さん、赤ちゃんが大きいといわれている妊婦さんには、麻酔の中止や麻酔薬の減量に備えてソフロロジー法を取り入れていただきたいと思います。当院では定期的にソフロロジー教室を開催しています。詳細は、妊婦健診の際に職員までお気軽にお尋ねください。

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